鯖寿司界に第三勢力あらわる。

 二度あることは三度ある。またしてもとっとり・おかやま新橋館の話。
 ネタとしては昨日色々と「かなべ」さんとお話した後、思わずお買い上げしてしまった「新商品」が個人的にかなりいい感じだったので、その話を。

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 さてその「新商品」とはずばり「鯖味噌寿司」。世間では鯖寿司というと「〆鯖」乗せ(第一)と「焼鯖」乗せ(第二)の激突という認識だと思うのだが、ここに岡山から颯爽と登場したのが「鯖味噌」乗せという第三の勢力なんですわ。

 この実物はというと、ご飯の上に鯖味噌となった鯖の開きがドカンと乗っております。鯖味噌といってもグズグズになるまで煮込んでいる訳でもなく、汁だくになっている訳でもなく、焼鯖のように自然に、しかもふっくら感まで残して絶妙な感じで乗っております。

 ・・・ってしれっと書いているが、普通に鯖味噌をご飯の上に乗せたら汁だくになってしまうし、汁だくにならないように仕上げたら調理直後は兎も角時間が経ったらやたら固くなってしまうし、これ中々どうして奇跡的なバランスですよ。正にこのバランスこそがこの製造元が開発した技術というかノウハウということでしょう。
 店頭では岡山出身だというバイト君が「サバ寿司というと日本海側が有名ですが、瀬戸内海側の岡山もママカリを筆頭に昔からいろんな魚を調理しているんで、調理法には自信があるんです」と宣伝していたが、看板に嘘偽り無といったところか。

 更に実食すると、味噌味だが塩気がそこまで強過ぎることもなく、鯖とご飯の厚さの比率が1:1ぐらいなので見かけよりもボリュームたっぷり。大変よろしい感じだったのですよ。
 これマジお薦めの一品です、はい。

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 ところがこの話には後日談が。
 後日もう一度とっとり・おかやま新橋館に顔を出したら、もう売っていなかったという。
 上手く育てれば長期的なヒット商品になるだけの実力はあったと思うので、是非復活を熱望。

倉敷でオリーブを育ててオイルを手絞りしている人が居るというお話。

 2回続いてとっとり・おかやま 新橋館でのお話。
 昨日買ってみたオリーブオイルが結構面白いシロモノだったので、生産者とちょっとお話してみる為にもう一度顔を出してみたら、何故か新しいものまで買ってしまった話。

 まずは生産者の「かなべ」さんとの話(60代ぐらい?のおじいちゃん)から。自分の筆力の低さ故ちんたら文章で書いたら読むに堪えないシロモノになってしまったので、以下箇条書き風味で。

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 そもそもは戦後、いろんな人がオリーブ栽培を倉敷で始めてはみたものの、生育が難しかったり当時はおカネにならなかったりという理由で次々と撤退する中、頑張ってオリーブ栽培を続けた人が居た。
 そのオリーブ栽培を親から継いで今もやっている。ぶっちゃけラクな商売ではないのにどうして続けているのかというと「親がやっているを見ていたから」とのこと・・・これが農民魂ってことなのかな。

 オリーブは山でなく平地で育てている。何故かというと昔は普通に山でやっていたが、ある年自然災害で山が崩れてしまい、平地で育てられないかとやってみたらいい感じになったので。
 最近では倉敷工場地帯の工場緑化にオリーブを植えるようなことをしているとかで、工場地帯は他の植物や虫が少ないので病害虫が出にくく、結果として農薬も少なく済むとのこと・・・その発想は無かった。

 オリーブオイルが食用として売れるようになったのは本当に最近のことで、それまでは石鹸やら美容液やらとかそういう方向で売って何とか続けてきた。
 漸く食用で売れるようになったので、折角作っているのだからいいモノを作りたい。幸い買ってもらった方からは美味しいと言ってもらえているが「もっといいモノにしたい」とのこと・・・これまた農民魂か。

 手絞りだとオリーブオイルの取れる量は実の重さの1割程度、180gの¥3,240@税込の瓶の量を取る為には小篭で山盛り一杯、1.8Kgのオリーブの実が必要。
 機械絞りにすればもっとオイルは取れるが、手絞りの方が雑味が入らず品質が高いとのこと。
 そんなオリーブオイルのお勧めの食べ方は「ちょっと贅沢だけど」炒め物の油に混ぜて使うと香りが広がって良いとのこと。そりゃもう当然旨そうだ。

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 結論、何と言いますか実に純朴な生産者です。
 こういう人が作るモノなら安心して買えますな。勿論安くはないのだけど、それだけの価値がある。
 もちろんオリーブオイル自体も良いモノです。本当にさっぱりしているのに香り立つ感じ。

 そんなこんなで話をした後、本日見かけた「新商品」をお買い上げして部屋戻り、と。