国産薄荷はワイルドな味わいだった。

 突然ですが「薄荷」と「ハッカ」、どちらがスッキリ感ありますかね。
 個人的には「薄荷」だと緑色の植物、「ハッカ」だと透明~白のエキスや菓子を連想してしまうのだけど、この辺りは感覚の話ということで。

 何故こんなネタを出したかというと、例によってアンテナショップをフラフラしていた時に見つけた、岡山の酒蔵が出している「薄荷焼酎」という代物を見つけてしまったので。
 ということで、こんなモンがありました的簡単な感想でも。
 ちなみに酒蔵の名前は「ヨイキゲン」、漢字では酔機嫌と書くらしいが社名がカタカナなので以降それで。

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 まずは瓶の形からして焼酎っぽくない「日本ハッカ焼酎 未知夢」。これで「みっちゃむ」と読ませるのは結構強引な気もするが、500mlのトニックウォーターでも入っていそうな丸っこいビンでお値段1,000円程度。

 まず前提として、ベースは25.5度の単式蒸溜な米焼酎。なのでそもそもの焼酎自体にそれなりに味がある筈なのだが、ここにガツンと自己主張して乗ってくる日本薄荷の強烈な存在感の前には第一印象ではその辺りは全て吹っ飛ぶというか。

 何がそんなに強烈かって、そのワイルド感ですよ。タブレット菓子のような、精製され単純化されたペパーミントとは全く違う。
 上手く言い表せないが、何とかまとめてしまえば「緑臭さ」。夏の野原や山の、生命力に溢れた雑草が青々と茂る、あんな風景を思い起こさせるような味。クリアとか透明だとかそんな表現とは対極の力強さ。

 ♯最初にパッケージ見た時にはもう少し大人しい感じかと勝手に思い込んでいたので、更に印象が強かったという部分はあるにはあるが、それを差し引いたって十分に強烈だよコレ。

 勿論薄荷なのでさわやか感もスッキリ感もあるし、それも強いので後味はもう独特としかいいようがない。
 それと、少し呑んで薄荷の衝撃に感覚が慣れてくれば、米焼酎の味がしているのにも気づけますよ、勿論ね。

 ということで、正直好き嫌いはハッキリ出るとしか思えないので、万人にはおススメ出来ないですな。
 野趣とかワイルドな味とか、そんなキーワードに反応する人には結構ウケるのではないかと。
 個人的には嫌いじゃないですよ、こういうの。

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 そしてもう一本、こちらはリキュール扱いの一品「ヨイキゲン ゆずミント」。
 500mlのスリムなボトルで、お値段は1,300円程度。

 モノとしては先程の薄荷焼酎を柚子果汁で割ってあるもの。アルコール7.5パーセント。
 こちらは焼酎分が約1/3に割ってある上、柚子の味がしっかりしているので薄荷の「緑臭さ」が薄れて爽やか感がより前面に出るようになっており、中々口当たりが良いですよ。
 但しストレートだと柚子の味が全面に出過ぎる気もするので、ソーダ割の他、牛乳割もかなり良い感じ。全体的なバランス感として、割った時に一番バランスが良いところに調整しているような印象も。

 とはいえベースとなる薄荷焼酎の主張の強さは薄まっても健在なので、最近売れてるらしい「清涼飲料水みたいなリキュール」ではないし、薄め過ぎるとまた味のバランスが崩れてしまい勿体無いことになってしまう。
 爽やかさは確かだが、一方で結構割っても後味として薄荷焼酎独特のワイルドな感覚が残るのは確かで、これが気になるという人は居るかも知れない。

 取り敢えず、薄いジュースと区別がつかないような「清涼飲料水みたいなリキュール」とは一線を画す、きちんと柚子果実や米焼酎の素材の味がする果実酒が飲みたい人にはおススメ出来る、かな。

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 以上、こんな感じで。

 ネット通販の広がりや、積極的なプロモーションを行う地方蔵元が増えたことに加え、こういうアンテナショップ等での展開や地域産品としての他の食材や観光要素と組み合わせたアピールも増えてきて、一昔前では現地に行かなければ名前すら見掛けなかったような地酒が、現在では都市部で簡単に手に入ったり、ともすれば試飲とかまで出来るようになったんですな。

 おかげで、各地の特色ある酒、こんな変わった酒までも気軽にお試し出来てしまう。
 自分は別に呑んべぇではないが、実に良い時代になりました、はい。