ハンコ押しが苦手な人間は安物の朱肉を使ってはならない、という話。

 これホントですから、いやマジで。

 自分、昔から「ハンコ捺す」のがひたすら苦手だったんですよ。どれぐらい苦手かって、まあ真っすぐに捺せない、朱肉捺しだと大体どっか掠れるか滲むかブレるか、といったところ。極めつけはシャチハタでもフツーにブレるとか。
 そんなんなので、銀行での手続きでも窓口担当者が「捺しましょうか」とか言ってくれたら「渡りに船」とばかりにお任せしていたぐらい。 
 更に更に、ハンコ憎しとばかりサイン推進派だったりするのだが・・・それは兎も角。

 ある日、気付いてしまったのですよ。
 「安物の朱肉を使うと、掠れと滲みとブレが圧倒的に出易い」
 ということに。これ何故かというと、
 「真っ当な朱肉というのは適切な粘り気があり、捺すのがヘタでも陰影をいい感じに保ってくれる」
 ということに、実際に「真っ当な朱肉」を使って気付いてしまったので。ぱっと見で分かるぐらい「こんもり」してしまっても、そのまま乾きさえすればほぼ何とかなっているし。
 逆に言うと、安物はこの粘り気が不足しており、このことが掠れ(朱肉不足)や滲み(朱肉付け過ぎ→「こんもり」せずに広がってしまう)、ブレ(付け過ぎ+捺し下手で広がる範囲拡大)を激しく発生させてしまうということも理解。

 ・・・弘法は筆を選ばずとは言うが、自分のような人間は筆ならぬ朱肉を選ばないと生きていけない、と。
 そのことに気付いてしまった日以来、朱肉はきちんとした品を買うようになり、同時に100円ショップの朱肉は自分にとっては「敵」となりました、とさ。

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